今秋、中池見湿地の中では、「しぼら道」と呼んでいる周囲の里道と
湿地の真ん中を通る一番大きな水路「中江」、
湿地の水がすべて集まって流れていく谷「うしろ谷」の水路の3箇所の整備工事が入ります。
そのうちのうしろ谷の水路の浚渫が行なわれました。
この水路沿いには、一時期、数を減らしていたホタルが、
ここ数年、市民や企業のボランティアの皆さんの水路の修復作業によって、
ずいぶん復活し、数を増やしているところです。
また、魚の種類も多い場所で、タナゴの仲間が産卵に必要な二枚貝もいます。
そのような場所ですが、山から崩れ落ちた石などが積もり、
水の少ない時期には流れが悪くなっていたので、
今回、浚渫をということになったのです。
「浚渫」という言葉に、生き物たちは大丈夫かと心配する私たちでしたが、
長年中池見で田んぼをされてきた中池見会の皆さんのお話では、
昔は、毎年しっかりと水路の掃除をしていたのが、
しなくなってから時間もたって、手仕事では限界がある、
この際、昔の状態に戻すためにも、しっかりと埋まった砂利などを取った方がいい、
すぐにとは言わないけれど、必ずもっとたくさんホタルが戻るようになるから心配するな、
とのことでした。
たしかに、上流部の流れを良くするためにも、
水の出口であるこの場所の流れを、まず、よくしなければというのは確かです。
でも、やっぱり生き物も心配。
ということで、浚渫して上げられた砂利などの中から、
できるだけ生き物を救出したいということになり、
さっそく、スタッフのFくんが見回りました。
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【Fくんの救出報告】
浚渫によって引き上げられた砂利に混ざって多くの貝殻が目に付きます。
中には割れてしまっているものや空になったものも多くありました。

しかしそんな状況でもイシガイ類合わせて22匹を生きたまま救出することが出来ました。
ほとんどがイシガイとマツカサガイで、よく目にするドブガイは1匹だけでした。

そのあと、ひとつずつ写真と殻長などの記録をとって川に返しました

前日からの雨の影響で貝がもといた場所の流れが非常に早くなっていたため、
少し下流の川幅の広い流れの比較的緩やかな場所に放流しました。

貝を一時的に避難させていた水溜りを見てみるとなんと魚の稚魚が!(緑で囲んだところ)
その水溜りは大雨によって出来たものなので魚なんているはずないと思ったのですが、
よく考えてみればイシガイ類といえばタナゴの産卵母貝として有名な生物です。
それに加えて中池見にはアブラボテというタナゴの仲間がいるので、
この魚はアブラボテの稚魚と見て間違いないと思います。

そうとわかれば、貝が実際にアブラボテの稚魚を吐き出す瞬間を見たい!
と思いしばらく粘ったのですが、
結局これより後にアブラボテの稚魚を吐き出すことはありませんでした。
(なのでこの魚が実際にイシガイから出てきたものかは不明です)
コメント
シボラ道の整備というのが気になります。
作業用道路のようになるという話しを、やはり、
中池見の散策中に会う人に聞いたことがあります。
トトロの木や冒見の木、どうなってしまうのでしょう。
こういうのはやはり行政に任せては行けないような気がします。
彼らは、金がついたら、その分使い切るだけですからね。
七七丸さま
整備事業のこと、気にかけてくださってありがたいです。
シボラ道は本当に味わい深い道で、私たちも大切に思っています。
そして、シボラ道に限らず、他の場所も中池見にとっては影響の大きな場所ですので、
今回の整備事業については、
私たちを含むこれまで中池見で保全活動や調査をしてきた市民や団体で、
調査資料を持ち寄り、保全上重要な場所リストやマップを作成して、
敦賀市や業者の方と話し合い、現地を歩きながら具体的にどのようにするかなど、
工事に向けて準備をしてきました。
だから安心、とはもちろん言いきれませんので、
工事の進み具合を私たちも見守る必要があると考えていますし、
もし、問題が起これば、その時に敦賀市と協議するということになっています。
そういう意味では、この取り組みは、かつての公共工事とは違う、
敦賀市としても画期的な取り組みなのではないかと思っています。
今後、それが取り組みだけに終わらず、真に保全のための整備、
やってよかったと思える工事となるために、
私たちも七七丸さんのように中池見を大切に思ってくださる方々と共に、
十分注目していたいと思います。
ちなみに、シボラ道が作業用道路のような砂利道になることはありませんので、
そこはご安心いただきたいと思います。
すいません、書き忘れましたが、
トトロの木や冒険の木に、手がつけられることはありません。
そういえば、トトロの木の紅葉の時期が気になりますね~