キタノメダカのタイプ産地はなぜ中池見湿地なのか?

ザリマジチームが捕ってきたキタノメダカとドジョウ イベント

11月12日に開催したなかいけみカフェのご報告です。
この日は、『キタノメダカのタイプ産地はなぜ中池見湿地なのか?』をテーマに、近畿大学名誉教授の細谷和海さんにお話しいただきました。

なかいけみカフェの様子

なかいけみカフェの様子

細谷和海さん(近畿大学名誉教授)

細谷和海さん

これまで取り組んでこられた分類学について、とかく新種を見つけるだけの学問と思われがちだが、生き物を保全していく上で復元修復の目標設定を示す大切な学問、保全分類学という捉え方で研究されてこられたこと、また、かつてシーボルトが採取し持ち帰ったメダカがオランダのライデン博物館に保管されていること、最近になってもこの標本からメダカの分類に関する様々なことがわかっており、標本として残すこととそれを世界で共有することの重要性を語られました。

なかいけみカフェの様子

そして、かつて日本のメダカは1種とされていたものが、その後キタノメダカとミナミメダカの2種に分類された経緯や、この日のテーマである『キタノメダカのタイプ産地はなぜ中池見湿地なのか?』について語られました。
生物の新種を発表するときにその基準として指定された標本を「タイプ標本」と言い、「タイプ産地」というのは、タイプ標本の産地であることを言います。
なぜキタノメダカのタイプ標本が中池見湿地のメダカで残されたのか?、ということの理由として、流れ込む川もなく地形的に周囲と隔離された場所であることと合わせて、ラムサール条約湿地として敦賀市が所有し保全活動を行う市民グループが存在することで、分布域の中で最も安全と考えたとのことでした。

近年農業の近代化によって激減したメダカが、近代化に取り残された中池見湿地には今も大きな群れを成して泳いでいます。しかし今最も心配なことは、在来の魚にとっての脅威、ブラックバスやブルーギル、メダカによく似たカダヤシなどの外来魚に加えて、近年特に形も色もとりどりに品種改良されてブームとなっているヒメダカをはじめとする改良メダカの放流とのこと。

標本として残されたメダカの産地である中池見湿地、そこのメダカは生きて泳ぐ標本として本当に大切に守られなければなりません。中池見では生き物の持ち込みは禁じられていますが、24時間の監視があるわけではありませんから、いつそれら外来種が放流されるともわかりません。
考えたくないことではありますが、そういった放流から中池見のキタノメダカを守るためには、一刻も早く生息域外で保存することが大切とのことでした。

中池見のキタノメダカの大切さと同時に、改良メダカを放流すること、さらには人が飼った生き物を野に放すことがいかに生態系破壊につながるかということを伝えていかなければならないと、あらためて思いました。

ちなみにこの日の午前中には、サポーターズのザリマジチームの皆さんで毎週行っているアメリカザリガニの防除活動がありました。こちらもそろそろかご罠での防除活動は終了し、冬期はもっぱらたも網によるすくい捕りでの防除活動となる予定です。

ザリガニマジで獲る!チーム

かご罠にはいっていたナマズ。

なかいけみカフェ終了後のオフショットです(笑)
ザリマジチームのメンバーが細谷先生に見ていただこうと捕ってきたキタノメダカとドジョウ(タイプⅡ?)を熱心に観てくださってます。よかったね!

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このイベントは2022年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の支援を受けています。
この事業は地球環境基金の助成を受けています

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