みなさん、ありがとうございます! 感謝のラムサール条約登録10周年記念シンポジウム

パネルディスカッション イベント

7/31(日)、中池見湿地がラムサール条約登録10周年を迎えることを記念し、「湿地保全と地域の暮らし~気候変動の未来を考える~」と題した、シンポジウムを敦賀市東郷公民館にてオンラインも併用して開催しました。

村上哲生さん

村上哲生さん

早速、お招きした3名の先生方の講演をプログラム順に紹介していきます。
① 「中池見湿地の水環境」 村上哲生さん(元中部大学応用生物学部教授)は、池塘(ちとう)に興味があり、陸水学の道に進まれたそうです。高層湿原(雨水のみで維持されている)と低層湿原(雨水と地下水など。中池見はこちら)の話の後、中池見の水質について。特に、国道8号バイパス工事の残土を不用意に置いたことから中池見湿地内にできた通称・笹鼻池を長年調査され、毎年3㎝ずつ深く、また面積も広がっている点を憂慮されていました。また、冬季に国道に撒かれる融雪剤や粉塵、酸性雨による窒素が生態系に与える影響は、ローカルではなく社会的な問題であるとお話いただきました。

高田雅之さん

高田雅之さん

② 「地域の自然資源としての湿地」 高田雅之さん(法政大学人間環境学部教授)は、北海道・サロベツ湿原での研究を原点に、全国そして海外の湿原・湿地の研究と探訪をされています。近年海外ではカーボンニュートラルの一手として湿地の復元や再生が行われ、大規模農業用に干拓されたオキチョビー湖周辺を湿地に戻すため莫大なお金がかけられている米国フロリダ州など国内外の事例をたくさん紹介してくださいました。
湿地の「価値」は幅広く、世界的なもの。CO2吸収や貯水防災機能だけでなく、湿地という存在自体が居住地の地価を高める現象も起きていて、「価値」に気づくかどうかが分かれ道、認識の違いが差を生むという言葉が胸に刺さりました。

西廣淳さん

西廣淳さん

③ 「気候変動と湿地・里山」 西廣淳さん(国立環境研究所気候変動適応センター室長)は、「谷津」と呼ばれる谷あいの休耕田を借り、自由な発想で米作りや雑草食を楽しむ「エコ小作」を実践されています。田んぼにも治水機能や、畑で使用された肥料の窒素を分解する水質浄化機能があり、山や森に人の手が入ることで様々な機能が加わる「手入れ」をし、自然を利用してきました。昔の生活様式には戻れない現代において、気候変動に適応していくには、経済活動や福祉、教育と連携していくことが鍵になると。最後に、「私たちは3階建ての建物で暮らしています。3階は都市部、数十年で人間が作れるもの。2階部分は里山で数千年かかって作られたもの。1番大事な1階は土、大地。数万年以上かかってできあがったもので人間にはつくれないもの。どれも壊すのは一瞬です。」と締めくくられました。

後半は、福井県立大学教授の田原大輔さんの明快な進行で、パネルディスカッションが行われました。

後半のパネリスト

左から、敦賀市地域おこし協力隊 西山綾加さん、東郷公民館館長 寺腰聡さん、中池見ねっと理事 藤野勇馬

まず、敦賀市東郷公民館館長・寺腰聡さんから中池見湿地のある地域としての活動が紹介され、「当たり前にありすぎて意識してない、行ったことない」住民が多いと発表。
続いて敦賀地域おこし協力隊・西山綾加さんからは、昨年中池見で稲作体験をして「人が関わることで守られる自然があることを初めて知った」。地元民の「当たり前」は、他所から来た人には当たり前ではないので、まだまだ潜在的な魅力があるはずと心強い言葉をいただきました。
最後に中池見ねっと理事・藤野勇馬から「中池見だけに注目するのではなく、周辺も生物は利用して生息している。敦賀市内にも素晴らしい環境の場所があり、広く守る必要がある」と報告しました。

パネルディスカッション

「当たり前すぎて意識できないのは、どの地域でも。自分たちの感覚は?少しずつの変化を、環境が壊れていく怖さをちゃんと感じてほしい」(村上先生)
「精神的な報酬という価値があると思う。外国人が魅力を感じる日本の火山や四季は、日本人には当たり前。1本の木をtreeと見るか、woodと見るか」(高田先生)
「これからは、どれだけ自然が残っているかが価値となる。誰しも経験から価値判断をしてしまうが、若い世代は新しい価値観を持っているはず。自然の状態が変化しても、価値をつけるのは人間なので、そこから新しい価値を導けるような人に期待したい」(西廣先生)
お話は、自然保護の在り方や自然観について、世代間の違いをどう共有し、認め、繋げていくかという、自然保護だけでなく地域文化にも通じる、まさにまちづくりとして必要な議論となり、もっともっと聞いていたい時間となりました。
オンライン参加者からも、「窒素濃度を解かりやすく説明してほしい」 「北陸新幹線工事の影響と効果は?」など質問があり、積極的に参加してくださる様子から、会場の楽しい雰囲気が伝わっているなと感じました。

また、会場内には、私たち中池見ねっとの活動やラムサール条約について紹介するパネルのほか、北陸新幹線のトンネル工事をされていた三井住友・極東興和・道端JVさんによる、工事作業者への環境教育活動についてや地元の咸新小学校(2020年、角鹿小学校に統廃合)の子どもたちから贈られたメッセージなどを紹介するパネルの展示を行いました。中でも目を引いたのが、1963年から2013年までに撮影された中池見湿地の6枚の大きな航空写真。「ウチの田んぼがあった場所は・・・」と地元の方々が、懐かしそうに見ながら話をされてました。
今回は、来場者とオンラインで合わせて約100名の方にご参加いただきました。


コロナ第7波の中、いろんな場所・場面で本当にたくさんの方々に助けていただきました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました!

(梅田)

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