湿地の草原の中、よく見ると草のかたまりが見えます。
(画像大きくなります)
ただ、草がごそっと集まっているだけでなく、
よく見ると・・・
草が細かく裂かれて編んだ手毬のような形です。
鳥の巣?と思われるかもしれませんが、
実は、これはカヤネズミの巣。
カヤネズミは、日本で一番小さなネズミ、
人の親指ほどの大きさに長い尾がついている、
体重は7グラムほど、500円玉と同じくらいの重さしかありません。
カヤネズミという名前のとおり、
このネズミは、ススキやヨシ、オギなどのカヤ原に暮らすネズミで、
家に入ってきたり、畑を荒らしたりというネズミではありません。
でも、残念な事に、カヤネズミが暮らすカヤ原は、
どんどんなくなりつつあります。
あまりにも身近な生き物なので、
気がついたら絶滅危惧種になっていたメダカのように、
カヤネズミも気がついたらいなくなっていた、
そんな事にならないか心配しています。
そんな中にあって、中池見のように広い草原がある場所は、
カヤネズミにとっては暮らしやすい場所といえます。
でも、今年は整備工事のために、冬越しの場所が相当失われてしまって、
どれほどのカヤネズミが生き残れるのかと、とても心配です。
全域保全のために行った整備ですので、
まわりまわってカヤネズミのためにも、いい環境になるはずですが、
今年に限って言えば、厳しい厳しい冬を迎えることになります。
何とか少しでも多くのカヤネズミが冬越しができるように、
急ごしらえにはなりますが、冬越しの場所を作ってあげたいと思っています。
そんな厳しい冬が来るのを前に、今、カヤネズミは子育て中です。
カヤネズミはとってもデリケート。
驚かせると子育てを放棄してしまうこともあります。
もしも、巣を見つけても、巣に近寄ったり触ったりはしないでくださいね。
カヤネズミについて、
詳しくは、全国カヤネズミネットワークのHPをご覧下さい。
コメント
こんにちは。カヤネズミで検索してきました。(ついこのあいだ、初めて巣を見つけました)。冬越しって、鳥さんの巣のような巣箱を作ってあげるのですか? とっても小さいのでしょうね。
はむりんさま
お立ち寄りくださりありがとうございます~
カヤネズミの巣、見つけると感激しますよね!
これがネズミの巣?って、最初は信じられませんでした。
でもその感激がきっかけとなって私は、
カヤネズミの調査に参加させてもらったりして、
ほかの生き物や草花にも関心を持つようになりました。
さて、冬越しの場所ですが、
本来は、カヤネズミは特に移動したりすることもなく、
同じカヤ原で冬仕様の巣を作って過ごすそうですが、
中池見は冬は湿地の大部分が水没してしまいます。
ですので、中池見のカヤネズミは、
冬は湿地の中でも比較的乾いた場所や土手に移動して、
枯れ草の中や常緑のスゲなどの細い草や裂ける草を利用して、
冬仕様の巣を作って過ごしているようです。
今年の中池見の土手は、整備工事で道を拡張したために、
土手が削られたり、盛り土されたりして、
カヤネズミの暮らせる場所がほとんどなくなってしまいましたから、
カヤネズミがもう利用しない場所の草を刈って、
例年移動してくる場所に草を積んで置いておこうと思っています。
利用してくれることを祈りながら、ですね。