マコモに作られたカヤネズミの巣です。
中池見のカヤネズミは、マコモで巣を作ることが多いので、
これ自体はめずらしくないんですけどね・・・
問題は、この場所なんですよね。
この時期は、特に、カヤネズミは子育てシーズンということもあり、
観察会以外、巣がある場所は詳しくお知らせしないようにしているのですが、
この巣については、こんなところに作っちゃったもんですから・・・
あえて、サインを立てて、木道から観察していただけるようにしました。
センターからガラス越しに、丸見えの状態(笑)
木道から2メートルほど離れているだけの場所です。
見た感じ、小さめですし、
とにかく、場所が場所ですから、落ち着いて子育てはできそうにないことから、
恐らく、子育てのためには使っていないのではないかと思います。
でも一応、念のために、
木道からそっと見守っていただくようにお願いします。
巣のアップです。
マコモの葉が細かく裂かれているのがわかります。
裂いた葉を編みこんで、このような球状の巣を作ります。
器用でしょう?
カヤネズミはヒトの手の親指ほどしかない、
日本で一番小さなネズミです。
草原でしか生きられない生き物で、
草伝いに移動するので、
人家に入って悪さなどをすることはありません。
時に、土手の草原などが田んぼのそばにあったりすると、
稲が育って大きくなった時期だけ、田んぼに巣を作ることがありますが、
カヤネズミは、どちらかと言えば、お米よりヒエなどの方が好みだそうで(笑)
しかも雑食性なので、田んぼの害虫なども食べたりします。
田んぼに巣を作るのは、お米が目当てというよりは、
巣材としての稲に目がくらんだゆえの所業(笑)、
害虫も食べてくれるということなので、
そのお駄賃と思って優しく見守っていただければと思います。
昔は、茅葺き屋根の葺き替えのために、里には管理された茅原があったり、
河川敷も今のように一気に刈られたり、造成されたりということもなく、
カヤネズミの棲みかとなる草原が当たり前にありました。
でも、今では昔のような草原が激減するに従い、
カヤネズミは全国的に数を減らして、各地で絶滅が危惧されるようになりました。
緑化のために植樹したり、花壇を作ったりということはされますが、
草原(藪ではない)を大事にする、ということは、あまり考えられていないと思います。
でも、カヤネズミのように、草原が必要な生き物たちはたくさんいることを考えると、
生物多様性豊かな草原を保全するということも、
意識されるようになってほしいなぁと思います。
姿はなかなか見ることができないカヤネズミですが、
こんな巣があるってことが、カヤネズミたちが元気に暮らしている証しです。
この場所だけでなく、もしも、どこかでカヤネズミの巣を見つけても、
決して触ったりしないで、そっと見守ってあげてくださいね。
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