今年も話題がたくさん!毎年恒例の「みんなで報告会」を開催しました

イベント

みんなで報告会チラシ

2023年3月21日(火)、敦賀市東郷公民館にて『中池見湿地の今をシェア!子どももおとなも みんなで報告会』を開催いたしました!

「みんなで報告会」では、中池見湿地で生き物の研究や保全活動などを行っている様々な取組を、名前の通り子どもから大人まで幅広い層のみなさまからご報告頂き、情報や思いを共有する場となっています。

今年はどんな話題が飛び出てきたのか、当日の様子を振り返りますのでぜひご覧ください。

会場の様子

今回は会場参加とオンライン参加の両方に対応したハイブリッド配信で開催しました。まだまだ不慣れなもので時には映像トラブル等もございましたが、なんとか最後まで楽しんで頂くことが出来ました。

会場では以下の皆様によるポスター展示も行いました。

  • 吉田一朗 (日本野鳥の会福井県)「中池見湿地付近の鳥類リスト 」
  • 角鹿小学校(令和4年度残そう!伝えよう生きもの保全事業:福井県補助事業)「5年生 中池見湿地生き物学校田での米作り」「3年生 中池見湿地後谷での生き物調べ」
  • 気比高校付属中学校「中池見の水質の変化について 」

また、今年は第二部にて改良メダカの放流問題に触れたので、パネリストの成瀬さん大場さんのご協力で改良メダカの皆様にも会場にお越し頂きました。

第1部 活動報告

ラムサール条約登録から10年 変化と展望 藤野 勇馬(中池見ねっと)

私たち中池見ねっとの活動報告を藤野が代表して発表しました。サポーターズバンクの発足・活動や、「中池見湿地ラムサール条約登録10周年記念事業実行委員会」の取組など、時代の節目となるようなことも多い一年であったことがわかりました。また、複数種の特定外来生物や改良メダカを発見したことなど、中池見に迫る新たな脅威についても改めて共有頂きました。

中池見の秘密を探れ!中池見ジュニアレンジャーの取り組み 中池見ジュニアレンジャー(中池見ねっと)

中池見ジュニアレンジャーは毎年子どもたちに大人気の企画で、今年も中池見で見つけた素敵な発見をシェアして頂きました!特にカマキリの卵嚢を探したのはみんなの印象に強く残っていたようで、よくそんなに沢山見つけたな~と感心しました。

天筒山登山道(永厳寺道分岐~山の神神社)に設置した センサーカメラに記録された動物たちⅡ 吉田 麻里子 氏 (日本野鳥の会福井県)

昨年に引き続き、センサーカメラに映った動物たちを吉田様に紹介頂きました。普段なかなか姿を見られない野鳥などが確かに写っていて、本当にたくさんの生き物たちが中池見で息づいていることがわかりました。

無農薬稲作による生物多様性活動報告 斉藤 剛 氏(株式会社アイシン福井)

株式会社アイシンは2014 年からミニ田んぼでのお米づくりをしてくださってて、今回で 9 回目となります。新型コロナウイルス感染予防の観点で参加者をいつもより減らした中、逆に雑草はいつもより沢山生えていて収穫と草取りがとても過酷だったとか。しかしなんとか無事刈り終え、絶滅危惧種のミズアオイも花を咲かせていたり、実りのある活動になりました。

中池見健康ウォーキングイベント 勝 麻衣 氏(株式会社アイシン福井)

株式会社アイシンさんでは、コロナ禍での在宅勤務による運動不足解消や生活習慣改善のきっかけづくりを目的に、中池見湿地をウォーキングコースとしてご家族参加型のウォーキングイベントを企画・実施されています。自然を楽しみ、健康課題の解決にもつながる一石二鳥な取組ですね。

中池見湿地のトンボ相の近況 和田茂樹 氏 (日本トンボ学会 会員)

中池見で長年トンボ調査をされている和田茂樹さんに、最近のトンボ情報について発表して頂きました。いくつかの絶滅危惧種が継続的に確認できたなど嬉しい報告もあれば、後谷の支流が干上がってしまったことにより源流部を好むトンボ類の生息を2020年以降確認できていないという心配な話題もありました。継続してモニタリングをすることの重要性を改めて感じます。

中池見湿地で取り組むニホンイシガメの保全とクサガメ及び雑種の防除対策 加賀山翔一 氏(千葉県ニホンイシガメ保護対策協議会)

加賀山さんは2016年より、和亀保護の会様と中池見ねっとと協力しながら中池見のカメ類の調査・保全に関わって頂いてます。継続した取組の中で見えてきた在来種ニホンイシガメと外来種クサガメとの関係についてご報告頂きました。

中池見湿地に生息するドジョウ2種の繁殖期と越冬環境 八嶋 勇気 氏(近畿大学大学院農学研究科)

中池見湿地には姿形が非常によく似たドジョウが2種いることがこれまで八嶋さんら近畿大学の皆様の研究によって明らかになってきましたが、「なぜ中池見湿地のドジョウ2種が共存することができているのか」という疑問が残っています。八嶋さんらがされた採集調査の結果や、飼育実験によるドジョウ 2 種の越冬環境について検証した結果などを発表頂きました。

野生メダカの観察 深町 昌司 氏(日本女子大学理学部化学生命科学科)

先程の吉田さんの発表では手筒山に設置した自動撮影装置に写った動物たちを見せて頂きましたが、深町さんはキタノメダカの行動を観察するため湿地に設置したカメラが捉えた動物たち(キタノメダカ、ナマズ、フナ、カメ、水鳥、鹿、ヌートリアなど)の姿をご紹介頂きました。また高性能なドローンが撮影した中池見湿地とキタノメダカの群れの映像はまさに圧巻でした!

第2部 パネルディスカッション『中池見のキタノメダカがピンチ! 私たちにできることは?』

第2部ではパネルディスカッションを開催し、「中池見のキタノメダカがピンチ! 私たちにできることは?」というテーマで、キタノメダカや改良メダカ問題について以下の皆様と議論しました。

[パネリスト]

  • 北川 忠生 氏 (近畿大学農学部)
  • 成瀬 清 氏 (基礎生物学研究所バイオリソース研究室)
  • 大場 貴保 氏 (改良メダカの放流禁止を考える会事務局)
  • 深町 昌司 氏 (日本女子大学 理学部 化学生命科学科)
  • 伊藤 玄 氏 (龍谷大学生物多様性科学研究センター)
  • 藤野 勇馬 (中池見ねっと)

[コーディネーター]

  • 野一色麻人(中池見ねっと)

まずは、そもそもキタノメダカって何?というお話から始まり、なぜ中池見湿地のキタノメダカが特に重要なのか、改良メダカが見つかった経緯についてなどをパネリストの皆様にお話頂きました。

改良メダカについては中池見ねっとメンバーも素人でしたので、どうやって見分けたらいいのか、野外で見つけたらどうしたらいいのかなどお聞きさせて頂きました。実際に中池見でメダカの研究されている研究者の皆様にお越し頂いたので、環境DNAを使った検出方法やドローンを使った撮影の可能性などフィールド調査の経験を踏まえた議論が出来て有意義だったと思います。

今回、メダカ販売を生業にされている大場貴保さん(改良メダカの放流禁止を考える会事務局)にもご登壇頂き、メダカ飼育者や販売者の事情や心理についても深堀りした議論が出来ました。ここでは、無計画に産ませて増やさないこと、「善意の放流」を防ぐための啓蒙活動をすることが重要という意見などが挙がりました。同時に、法改正による改良メダカ放流の規制を検討する議論もこれから重要になってくることも大事な意見だと思いました。

今回の催しは参加者からのみならず、SNSでも多くの反響を頂き、「第3の外来種問題」に対する認識を深める良い機会となりました。中池見ねっとでは引き続き、関係者各位と協力しながらキタノメダカの保全に取り組んで参りますので、ぜひご支援・ご協力を頂けると幸いです。

あとがき

RCN(嶺南ケーブルネットワーク)様には音響のセッティングや当日の撮影などでお世話になりました。当日の様子は5月と6月に放送予定ですので、嶺南地域の方はぜひご覧ください。

中池見湿地「みんなで報告会」 - 敦賀の情報サイト みねっと
中池見湿地で調査研究を行う子どもたちから専門家までが集まり活動報告を行う「中池見湿地の今をシェア!子どももおと

今回の催しは、敦賀市の後援と、2022年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催いたしました。

以上の皆様と、ご参加頂いた皆様に深くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。

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