6月11日は定例自然観察会を行いました。今月のテーマは「中池見のトンボたち」です。
当日の朝は少し肌寒いようにも思われましたが、観察会が始まるころには
心地よい天候に加えてさわやかな風も吹いてきて、まさに絶好の観察会日和!
例年以上に多くの参加者にお越しいただきました。
講師を務めてくださるのは「中池見湿地のトンボ観察ガイドブック」の
編集者である和田茂樹さん(写真中央)
トンボについてのことなら本当に何でもご存じで
その知識量とトンボへの愛情に裏打ちされた和田さんのお話には
ついつい引き込まれてしまいます。
観察会が始まってすぐ、列の後ろで何やらにぎやかな声が…
「小さーい」「初めて見た―!」
そそそれって、、まさか、、、!
いたーー!!ハッチョウトンボだーーー!!!(写真中央右の赤いトンボ)
ハッチョウトンボは休耕田などの草丈の低い湿地を好む言わずと知れた日本最小のトンボであり、
中池見湿地では講師の和田さんが2001年に確認して以来、確かな記録がなかった大変希少な種です。
見た目にはただの赤とんぼのように見えるかもしれませんが、特徴は何といってもその大きさ!
体長は約2cm、翅の長さも1.5cmほどしかなく、
羽を閉じれば500円玉ですっかり覆い隠せてしまうほど小さいのです。
警戒心が低いというのか肝が据わっているというのか、人が近づいてもほとんど逃げないハッチョウトンボ。
観察会はしばし撮影会の様相でした。笑
七曲の池周辺に移動し、網を手にトンボを探す参加者のみなさん。
素早く飛び回ったり高く舞い上がったりするトンボに悪戦苦闘しつつ、大人も子どももすっかりトンボ採りに夢中です。
なんと、両手にチョウトンボを止まらせている男の子がいました!
みんなに「名人!」なんて呼ばれてすっかり得意になっています。笑
実はこの日、七曲の池周辺にはみずみずしいチョウトンボがたくさんいたのですが
どうやらどの個体も羽化したばかりで上手に飛べないようで
にわかトンボとり名人たちの格好の標的になっていました。
チョウトンボは夏のトンボ。発生のピークはこれからのようです。
池の周りではほかにも春によくみられるヨツボシトンボ(写真上)や
夏に向けて増えてくるコフキトンボ(写真下)など様々なトンボがみられました。
なんとなく「秋」のイメージが強いトンボですが、春にしか見られないトンボや
夏に出現するトンボもたくさんいます。秋に見られるトンボも夏ころに羽化し始めることから
観察できるトンボの種数は6月の後半にピークを迎えるそうです。
観察会も終盤、参加者の足元にやけに色の薄いトンボが。
これ、講師の和田さんによると羽化したばかりのシオカラトンボなのだそうで
この日何度も見かけたシオカラトンボの意外な姿に参加者のみなさんも興味津々でした。
ちなみにお尻の水滴は羽化したトンボが体を伸ばすための体液らしく、
大きな羽も翅脈に沿って体液を送り込む作用によって伸展するのだそうです。
成虫(トンボ)の半分ほどの大きさしかない幼虫(ヤゴ)が
一度の脱皮で大きく成長できるのにはこんな秘密があったのですねぇ。
ふれあいの里へ帰って来たら今日の観察会のまとめ!
この日は合計で19種類ものトンボが見られたことがわかって
参加者のみなさんも大満足のご様子。
最後には和田さんが採集した三角紙に入ったトンボをみんなで
観察して、観察会はお開きになりました。
実はこの後、常連さんとスタッフでハッチョウトンボを探したのですが、
残念ながら追加の個体は見つけられませんでした。
ハッチョウトンボの発見は多くの人が観察会に参加してくれたことで
おこったミラクルであるように思います。
観察会やイベントごとにサプライズを用意してくれる中池見。
今後もみなさんのご参加をお待ちしております!
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