今年最初の自然観察会(1/13)の様子です。
今回は、フィールドサインを探そう、ということで、
講師は、哺乳類、特にニホンザルの研究者で、
くらしといきものワークショップ事務局の
千々岩哲(ちぢいわあきら)さんです。
千々岩さんは、総合学術報告書にも調査協力されるなど、
昔から中池見に足を運ばれていましたが、
昨年のワークショップ以降、月に一度ほどのペースで、
中池見の周囲の山や湿地内の獣害やアライグマなどの外来生物の侵入など、
モニタリングしてくださっています。
前の机には、千々岩さんが用意してくださった骨格標本がズラリ!
生き物の生き方とその姿形とはとても関係があります、
と始められた千々岩さん。
「ネコの頭骨、目が大きいですね?目に頼って生きていることがわかります。」
左:様々な骨格標本を手に取って観察。一気にテンション上昇!(笑)
右:スミスネズミの骨、ちっちゃいね!
タヌキの骨格標本、頭にトサカがある方(左)がオス、
つるっとしている(右)のがメスだそうです。
実は、今回の観察会では、
雪の上にあるフィールドサインの観察をメインに考えていたのですが、
どういうわけか、今年は積もるほどの雪がなく、
3日に降った雪もほとんど融けてしまいました。
そんなわけで、オールシーズン通用する、
フィールドサインの観察の仕方を体験することになりました。
左:わずかに残った雪の上の足跡を観察。
右:テンのフン。テンとイタチとはフンもよく似ているそうですが、太さからテンと思われるとのこと。
左:杉の木についていたイノシシのこすり痕。イノシシは体についたダニをとるために、
このように体を木にこすりつけることもあるようです。
右:同じ杉の木についていましたが、こちらはシカの角の磨き跡。
左:山からイノシシやシカが降りてきた痕。
右:ネズミの掘った穴。穴の大きさからアカネズミかな?と推測。
左:クワの木のヒコバエ(孫生え)についていたシカの食痕。
「シカは、人でいう前歯が下顎にしかないため、下の歯と上唇で挟むようにしてちぎるようにして食べます。」
右:杉林の中、あちこちの杉の木の皮が剥けています。リスが巣材にするために剥いていった痕だそうです。
今、全国で問題になっているシカの食害について、
中池見の周囲の山でも確認できるけれど、
今のところ、まだ深刻な状況にまではなっていないと伺い、ホッとしました。
でも、深刻な状況になってからでは遅いので、
これからも注意して見守る必要がありますね。
ただ、今回、イノシシの掘り痕はやたら目立つし、
シカの足跡もくっきり残るので気になりますが、
こうしてみると、他の小さなフィールドサインも、
たくさん残されていることがわかりました。
生き物の気配濃い中池見、冬のエサの少ない季節でも、
たくさんの生き物が生きていける豊かな自然なのだということを、
再認識できた観察会でした。
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